言葉の妙味(1)-新しき

 新しき年の始めの初春の今日降る雪のいや重け吉事
 <平仮名> あらたしき としのはじめの はつはるの けふふるゆきの いやしけよごと
 <現代語訳> 新しい年のはじめの、新春の今日降る雪の積り重なるように、ますます重なれ。よいことが。

 万葉集の最後を飾る大伴家持の歌です(おおとものやかもち。718頃~785。奈良時代の歌人。万葉集第四期歌人)。
当時、元旦の雪は豊年の前兆とされていたそうです。

 高校時代だっでしょうか「万葉集」を習った頃、「新しき年」の読み方に驚いたことを思い出します。

「ええ、あたらしい年ではないんだ!」
以下は最近調べた結果です。
◇上代(奈良時代以前)は、「あらたし(新し)」=《新しい》と、「あたらし(惜し)」=《惜しい,立派だ》が使い分けらていたが、中古(平安時代)以降に混同され、「あらたし(新し)」の「ら」と「た」が逆転して、「あたらし」が《新しい》の意味をも持つようになり、「あらたし」は滅ぶ。

 

山部赤人)明日よりは  春菜摘まむと標めし野に 昨日も今日も雪は降りつつ (万葉集巻8-1427)

(光孝天皇)君がため春の野にいでて若菜つむわが衣手に雪はふりつつ(古今21)「百人一首」

※万葉人は「蕗の薹(ふきのとう)」も「春菜」「若菜」と詠んだとのこと。わらび・よめな・せり・のびる・かたくり・すみれ・ふきのとう等。

 

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